図書館幻想

 今日は図書館の窓際の席で英語の勉強をしてる。否、そういうふりをして座っている。全く進んでないしやる気もない。

 

右どなりの区画では日本の大学生と留学生が楽しそうに何かを話してる。

私の分からない言葉を聞いて「HAHAHA!」と笑う黒髪ロングの女の子はどんな大学生活を送ってきたんだろう。

おそらく彼女は今、別の人の言葉に相槌をうちながら、高身長イケメン金髪留学生の透き通るような青い目に向かってウットリ微笑んでいる。そして心の中で

『ねえ、私の気持ち伝わってるかしら、ボブ(仮名)?』

なんて思っている。

ボブは彼女にこっそりウィンクしながら

『君を今すぐ抱きしめたいっていう衝動を抑えるのに必死だよ、ハナコ(仮名)』と思ってる。

なんて、そんな感じだったらいいのになーって画面のはじに映る茶色いとっくりセーターの女(私)は思ってる。

そんな感じじゃないのかな。

アメリカンな恋をしてみたい人生でした。

 

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窓の外を見ると、ポッキーの風船をいくつも持った地味な女の子が急ぎ足で帰っていった。あんなにたくさん風船を持って何をするんだろう。もしかして家に沢山の兄弟が待っていて、その子らにあげるのかな。それとも、地味そうに見えて実はユーチューバーで、あれを使って何かを配信したりするのかな。「はーいこんにちは〜!今日は学校で大量のポッキー風船をもらってきました!ドドン!」みたいな。

…つまんなさそうだな。

 

道行く人はみんな何考えてるんだろ。

どんな人間関係を持っているんだろう。

大学生も残り僅かになっちゃったけど、

これでいいのかな。

もう一回やり直したいなと思う瞬間は沢山ある。違うサークルに入ってみたり、もうちょっと外れてみたり。森見登美彦が「四畳半神話大系」を書いたのはこんな気分の時だったんだろうか。

 

図書館で英語の論文を読んでいるけれど、全く分からないのでグーグル大先生に頼りまくっている。あの騒がしいグループから留学生を一人拉致ってきたい。

そんな勇気も交渉力も無いけれど。

 

 

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3限が開始する1分前に、教科書を忘れたことに気がついた。もういいや、サボっちまえ。これは戦略的自主休講だと自分に嘘をついて総合教育棟の階段を降りる。

行き先がなくなったのでローソンに行ったらソフトクリームが100円だった。むかし読んだ小説で、ソフトクリームとコーヒを買って「コーヒーフロート」を再現していたのを思い出して、(確か萩野アンの短編小説) コーヒーとソフトクリームを買うことにした。レジまでコーヒーを持っていって「ソフトクリームください」というと、「すみません、ただいま調整中で…」と断られてしまった。しょうがなくコーヒーだけを買って、今はローソンの席に座ってる。

 

あーーー勉強したくなーーーい。

が、これから図書館に向かう。偉い。